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マーケティング・アイデアが広告を強くする
マーケティング・アイデアのある広告は、人を惹きつける。バイラルや販促効果は、そこから生まれます。
では、何が「人を惹きつけるのか」。生活を通して、見たいこと、聞きたいこと、知りたいこと、面白がらせることが人を惹きつける。マーケティング・アイデアは❶生活者目線であることが必要です。
生活者目線のアイデア?と言っても、朝起きてコーヒーを飲みながら”たいそれたこと”を考えることはそんなにないですね。
ほんの小さなことで充分。小さな身近なことを知って、大きな関心に変わっていく。マーケティング・アイデアは❷小さくても身近な視点→誰かに話したくなるバイラル効果をつくります。
でも、企業目線では真逆のことを要求しているものです。例えば、この商品のここが良いので、それを印象付ける表現が求められる。マーケティング・アイデアは❸企業の言葉を生活者言語に翻訳したものが必要です。
そして、マーケティング・アイデアには❹生活者を行動させるモティベーション、動機付けが必要です。企業はその仕組みにお金を払ってくれると言っても過言ではありません。
最後に、生活者を行動に走らせるのは、ビッグデータなどから洞察したマーケティング・アイデアには❺生活者インサイトが的確に捉えられていることが、大切なことは言うまでもありません。
では、成功した効果的なマーケティング・アイデアを、日本と世界規模で見てみましょう。
・日本では、2019年ACC賞マーケティング・エフェクティブネス部門受賞作
・世界最高峰のマーケターのエフェクティブネス賞であるエフィー賞(EFFIE AWARDS 2019)受賞作
(文責: 南 勲)
マーケティング・アイデアの成功事例①「絶品高崎グルメ」
広告主:高崎市
商品名:シティプロモーション
キャンペーン名:絶やすな!絶品高崎グルメ「絶メシリスト」
広告会社:博報堂ケトル/博報堂
制作会社:テー・オー・ダブリュー/太陽企画/東京アドデザイナース
作品:2018 58th ACC TOKYO CREATIVE AWRDS 総務大臣賞/ACCグランプリ
全国展開のチエーン店に駆逐されているローカルの飲食店をなんとかしたいというほぼオーガニックなキャンペーンです。
社会現象という大きな視点に立てば、ローカルのシャッター商店街をなんとかしたい。ローカルの人々の身近な視点に立てば、生まれ育った地域に生まれた”ソウルフード”を絶やさないでほしい。「食べたもので人は出来ている」という中国のことわざにあるような郷愁フードに対する生活者インサイトも読み取れます。
ローカルの「絶品高崎グルメ」を紹介するウエブサイトから出発し、サイト誘引のために媒体費の安い地域テレビ局のみにCMを放映し、150万PV(視聴)を獲得し、テレビ局の報道がフォローし、13億円の宣伝効果を達成。そして行動化モティベーションの結果として、掲載店舗平均で20%の売り上げアップを達成したそうです。
高崎から九州の街へ、ローカルから全国拡大展開を見せているそうです。一方、アメリカにも“SMALL BUSINESS SATURDAY”という地元商店街での買い物を誘うクレジット会社とのタイアップ企画があり、盛り上がっているそうです。
高崎ローカルから世界各地の「絶メシリスト」を見たいと思う持続可能で発展性のあるキャンペーンです。
マーケティング・アイデアの成功事例②「90歳。何がめでたい」
広告主:小学館
商品名:90歳。何がめでたい
キャンペーン名:こつこつ100まで。ご長寿型キャンペーン
広告会社:博報堂
制作会社:春企画
作品:2018 58th ACC TOKYO CREATIVE AWRDS 総務大臣賞/ACCゴールド
佐藤愛子さんの著作「90歳。何がめでたい」の出版販売のプロモーション企画。長寿への共感者を、いかに読者にさせるか。高齢者なら知っているはずの昔のヒットCM、小学館の「ピッカピカの一年生」を下敷きに「高齢者の一年生」にカメラの前に登場してもらい、一言キャンペーン。高齢者のゴールデンタイムである、テレビ媒体費の安い早朝を活用した。ネットは見ない層だから、新聞の地方版に広告を掲載して、相乗効果を高めた。
「高齢を自分ゴト」にする長寿マーケティングで、❶生活者目線❷身近な視点❸生活者言語❹共感が購買動機になり❺長寿ならではのインサイトがあり、強いマーケティング・アイデア満載。結果は、128万部突破で年間ベストセラーになったそうです。
マーケティング・アイデアの成功事例③「ヘーホンホヘホワイ」
広告主:日本マクドナルド
商品名:ヘーホンホヘホワイ(ベーコンポテトパイ)
キャンペーン名:ヘーホンホヘホワイ
広告会社:ビーコン コミュニケーションズ
制作会社:テー・ワイ・オー モンスター
作品:2018 58th ACC TOKYO CREATIVE AWRDS ACCシルバー
熱い「ベーコンポテトパイ」を口に入れると、「ヘーホンホヘホワイ」になります。
熱くて美味しい「ベーコンポテトパイ」を頬張って商品名を言うとそうなります。この生理的なインサイトは、見事なアイデアになっています。楽しいことは、誰かに言いたくなる拡散型。小規模予算でも起爆するキャンペーン。
まさに、❶生活者目線❷身近な視点❸生活者の生理言語❹好奇心が購買動機❺生理インサイト、全てを網羅した効果的マーケティング・アイデアになっています。
ツイッター、ユーチューブ、ウエブサイトなどSNSで、あるいはマスコミに取り上げられ、絶大な効果を発揮:Yahoo!「話題なう」に2回掲載、ツイッターでは「トレンド」の1位、マスコミ報道でメディア出稿換算で1億6,900万円以上。売り上げは、昨年比2.5倍で品切れ店も続出だったそうです。
エフィー賞2019入賞作に見る
マーケティング・アイデアのある広告
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ファーストフード※Effie®Awardsより引用(www.effie.org)
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不満を満足へ変える
2019 エフィー賞銅賞(メディア・アイデア)
RAN IN: United States
CLIENT
Burger King
AGENCY
MullenLowe U.S. *Lead Agency
背景:
ウエンディーズが、人気のスパイシー・ナゲットを急に止めてしまった。それをきっかけに、ナゲット・ファンが騒ぎ出し、ツイッターが炎上
挑戦:
バーガーキングがそのSNS炎上に加わり、ナッゲトファンに同情し、マーケットシェア奪取を試みた
キイ・アイデア:
ツイッターを(ブランドメッセージを入れて)リツイートすることで、広告メディアに変えた
実施:
人々の不満の中にあるニーズを発見した。
ウエンディーズに向けられた不満のツイッターのフォロワーとして繋がり、バーガーキングのスパイシーナゲットの広告にした。しかも小予算で執行した。
成果:
詳細:https://www.effie.org/case_database/case/ME_2019_E-3692-341
©2019: This case is the property of Effie Worldwide, Inc. and is protected by copyright and other intellectual property laws. This brief may be displayed, reformatted and printed for your personal use only. By using this site, you agree not to reproduce, retransmit, distributed, sell, publicly display, publish or broadcast the information to anyone without the prior written consent of Effie Worldwide, Inc.
当該ケーススタディは、エフィー・ワールドワイドに帰属し、著作権法及び知的資産保護法により護られています。
当該資料は、個人使用目的限定で、開示、フォーマット変更、及び印刷は許されています。当該サイトのコンテンツ使用(再制作、転送、配布、販売、一般開示、出版、放送等)に関し、エフィー・ワールドワイド・インクに事前の許可申請書が求められます)。
ライバル社へのツイッターを”リツイート”して介入する広告!バーガーキングらしい手口です
考えてみれば、SNSはフリーメディアなので、このトリックはまたどこかで使える
敵を作りたくない日本の企業には、なかなか採用できない作戦ですね。でも、これくらいの寛容度と自由度が広告にあっていいと思います
予定調和の広告こそ、広告をつまらなくしている。企業言語ではなく、生活者言語で話しているツイッターだから共感も説得力も生まれます
因みに、介入されたウエンディーズは、より騒ぎが大きくなるのを避けて、無言を貫いたそうです
メディア※Quoted from Effie®Awards(www.effie.org)
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「便りのないのは、良い便り」
2019 エフィー賞金賞[少額予算・商品 - グランプリ選考作品]
RAN IN: United States
CLIENT:Chicago Sun-Times
Edwin Eisendrath, CEO
Chris Fusco, Editor in Chief
Matt Watson, Chief Digital Strategist
Carol Fowler, Senior Vice President of Digital News Products
AGENCY: Ogilvy *Lead Agency
Joe Sciarrotta, Chief Creative Officer
Michael Franklin, Creative Director
Isaac Pagan, Creative Director
Kelsy Zemanski, Account Supervisor
Gabe Usadel, Design Director
Kendra Arenkill, Planner
背景:
シカゴ・サンタイムズ紙は、斜陽の新聞ジャーナリズムとビジネスモデルの構造変化に悩んでいた
挑戦:
生き残りをかけて、(一時は無料だった)新しいデジタル紙の有料購読者を募った
キイ・アイデア:
空白のフロントページ
実施:
シカゴ・サンタイムズ紙のフロントページを空白にして、ニュースが知らされない日を想像させた。
そして、月間7.49ドルでウエブペーパーのすべてのコンテンツへのアクセス権を提供し勧誘した。
成果:
詳細:https://www.effie.org/case_database/case/US_2019_E-4314-967
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日本の新聞は、宅配がメインですが、欧米では街中のニューススタンドで売られています。だから、フロント
ページ勝負、見出しで売れ行きが変わります(日本のタブロイド紙やスポーツ紙と同様ですね)
シカゴサンタイムズ紙は、フロントページを空白にして、人々の足を止め、手に取らせ、“ニュースがシカゴから消えたら”という想像を刺激しました
そして、ウエブ版の購読契約と廉価サービスを伝え、街の噂へ。関心を喚起し、行動へのモティベーションを持ったキャンペーンは、成功しました
日本の新聞も最近の宅配契約者の激減に対して、広告媒体費への依存から脱却して、デジタル購読獲得へのビジネスモデルの転換を図る時期にきているように思います
沈黙は金、空白も金。「空白に主張させた」シカゴサンタイムズ紙のマーケティング・アイデアが光ります
厨房製品※Quoted from Effie®Awards(www.effie.org)
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革新は、あらゆるものに囚われない
2019 エフィー賞金賞[家具・調度品部門]
RAN IN: United States
CLIENT: JennAir
Jon Hall, Product & Brand Marketing Director
AGENCY
Digitas *Lead Agency
Darkhorse *Lead Agency
Atit Shah, Co-Chief Creative Officer
Andrew Carlson, Co-Chief Creative Officer
Michael Frease, EVP, Executive Creative Director, Brand Creative
Alex Stuessy, VP, Director, Creative Strategy
Kristine Kobe, VP, Group Account Director
Michael Epstein, Senior Copywriter
Rob Tripas, SVP, Production
Eileen Ziesemer, SVP, Public Relations
Scott Donaton, Global Chief Creative & Content Officer
MSL Group
背景:
ラグジュリーな厨房器具として、かつては最先端ブランドだったが、10年たった今はトップブランドの座を滑り落ちてしまった
挑戦:
贅沢さを求めている客層の掘り起こし
キイ・アイデア:
古いコンセプトの“贅沢”を破壊する
実施:
成果:
詳細:https://www.effie.org/case_database/case/US_2019_E-4372-561
“Bound by Nothing(何ものにも囚われない) ”篇
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当該ケーススタディは、エフィー・ワールドワイドに帰属し、著作権法及び知的資産保護法により護られています。
当該資料は、個人使用目的限定で、開示、フォーマット変更、及び印刷は許されています。当該サイトのコンテンツ使用(再制作、転送、配布、販売、一般開示、出版、放送等)に関し、エフィー・ワールドワイド・インクに事前の許可申請書が求められます)。
凋落した高級ブランドの立て直しは、なまやさしいものではない。忘れ去られたブランドを復活させるのに、昔のイメージを思い起こされても、一歩も前に進まない
むしろ、昔のブランドイメージを否定するところが、新しいイメージの出発点になった
“BOUND BY NOTHING” あらゆるものに囚われない。贅沢な厨房機器のプレミアム・ブランドJennAirに求められるものだった
もちろんイメージだけではなく、プロの厨房を家庭にという考えのもとに、革新的な対流型の調理機器や、熱気を上昇気流に変える調理台のトップなど高級厨房機器のモデルチェンジも、キャンペーンの説得力を生んだ
昔のイメージ資産に頼って、離れられずにイメージチェンジを失敗した企業やキャンペーンをたくさん知っているだけに企業の勇気とマーケティングアイデアを称賛したい